自尊心について考えたらセルフ・コンパッションに行きついた

おのP

最近自尊心について考える機会がありました。

ほー、それまたどうして?

おのP

みんチャレという習慣化アプリで「自尊心を上げよう!」というチームに誘っていただいたのです。

ほほ~。

おのP

自分の自尊心って高いのかな、低いのかな?とか、自尊心が高いとどんないいことがあるんだろう?上げるにはどうしたらいいんだろう?などなど疑問がわいてきたんですよね。

さすが「向学心*」さんですね!

*「向学心」はVIAの強みの調査票の24の強みの一つ

目次

自尊心とは?

この記事では、心理学的観点から話を進めたいので以下の定義とします。

自分の自己概念がどれくらい肯定的に知覚されているか、その特性や質の程度のこと。自尊感情ともいう。

ーAPA心理学大辞典

自己概念とは、自分が思う自分の姿のことで性格や能力、身体的特徴などが含まれます。後ほど紹介するセルフ・コンパッションという本では、

自分自身の価値に関する評価、自分は善良でかけがえのない人間であるという見解…

個人的に重要と考えていることについて自分は優れていると考えることによって自尊感情が発生する。

と書かれています。

ポイントは「自分が思う」とか「自分が重要と思うことについて」どう評価しているかということ、つまり主観的なんですね。

自尊心が高いとどんないいことがあるの?

アメリカの心理学者ローゼンバーグが開発したローゼンバーグ自尊感情尺度を、日本語版にした自尊感情尺度(Mimura & Griffiths(2007)(RSES-J))というものがあります。

各設問に回答し当てはまる回答の数字を合計してください。

日本版自尊感情尺度

  • 1.私は、自分自身にだいたい満足している。
    (4強くそう思う 3そう思う 2そう思わない 1強くそう思わない)
  • 時々、自分はまったくダメだと思うことがある。
    (4強くそう思わない 3そう思わない 2そう思う 1強くそう思う)
  • 私にはけっこう長所があると感じている。
    (4強くそう思う 3そう思う 2そう思わない 1強くそう思わない)
  • 私は、他の大半の人と同じくらいに物事がこなせる。
    (4強くそう思う 3そう思う 2そう思わない 1強くそう思わない)
  • 私には誇れるものが大してないと感じている。
    (4強くそう思わない 3そう思わない 2そう思う 1強くそう思う)
  • 時々、自分は役に立たないと強く感じることがある。
    (4強くそう思わない 3そう思わない 2そう思う 1強くそう思う)
  • 自分は少なくとも他の人と同じくらい価値のある人間だと感じている。
    (4強くそう思う 3そう思う 2そう思わない 1強くそう思わない)
  • 自分のことをもう少し尊敬できたらいいと思う。
    (4強くそう思わない 3そう思わない 2そう思う 1強くそう思う)
  • よく、私は落ちこぼれだと思ってしまう。
    (4強くそう思わない 3そう思わない 2そう思う 1強くそう思う)
  • 私は、自分のことを前向きに考えている。
    (4強くそう思う 3そう思う 2そう思わない 1強くそう思わない)

ー引用:東北大学大学院教育学研究科研究年報 第58集・第2号(2010年)

合計点が30点以上:自尊心が高い
20点以下:自尊心低い
引用元の東北大学大学院の年報では「日本の健常者の平均はおおむね25点くらい」ということです。

いかがでしたか?

しかーし、自分が好きには2タイプある

ただ、自尊心尺度が高いからといってホッとしていてはいけません。ローゼンバーグ博士は自尊心には2つのタイプがあると言います。

  • Very good(とても良い)比較からくるもので過大な自己評価につながる
  • Good enough(これで良い)自分は価値ある存在として認めている

つまり、健全な自尊心とそうでない自尊心があるということですね。詳しく見ていきましょう。

Very good(とても良い)自尊心

「とても良い」という自尊心は出来・不出来や可・不可などに左右される自尊心です。自分を好きな理由が達成や比較から来るもので自分が世の中の平均以上だから「Very good」と評価します。

ということは自分よりできる人が現れたり、失敗すると自尊心が崩れて不安定にもなりえます。これは条件付きの自尊心や条件付き自己価値と呼ばれています。

そして、条件付きの自尊感情がよく見られる領域は特定されているそうです(1)自分の魅力仲間からの承認人との競争学業家族からの応援自分には徳があると感じること。

女性の場合は、体重や容姿など自分の魅力という特定領域が自尊心を上げたり下げたりするという例がわかりやすいかもしれません。

わたしもダイエットに失敗して、結局ドカ食いし落ち込んだりみじめな気持ちになったことがあります。

自分の自尊心が健全かどうか知るためにも、条件付き自尊心の高い人がとる行動を見てみましょう。

  • できていない人を見下す
  • 集団内のメンバーは好むけれど集団外の人に偏見を持つ
  • 頻繁にいじめをする
  • 条件付きの自尊心が傷つく可能性のある挑戦をしない
  • チートしててもよく見せようとする
  • 助けを求められず孤立
  • 完璧主義

わたし自身も失敗が怖くて挑戦できなかったり、完璧主義だったり、なかなか助けてと言えなかったり思い当たることがあります。

Good enough(これで良い)自尊心

自分が好きな理由が、良いところも悪いところも含めて自分のことを無条件で認められるとき、受け入れられているとき「これで良い」と思うことができます。
この場合、自分が失敗しても例え他人よりも劣っているとしても自己価値観は揺るぎません。

自尊心(Self-Esteem)ムーブメントの結末

今回自尊心についていろいろ調べたくなったのは、ポジティブ心理学を学び始めて、「自尊心を語るのはもうやめよう!(意味がないから)」という話を聞いていたからです。

心理学者たちは、高い自尊心がそれほど効果があるものか疑問視するようになっているというのです。

1986年、カリフォルニア州では自尊感情に関する特別委員会が発足し、年間25万ドルの予算を獲得しました。子どもたちの自尊感情が高まれば、いじめや犯罪、十代での妊娠、ドラックの乱用、学業不振などの問題が減少するだろうというのがその理由でした。

そして、自尊心ブームの結末ですが、期待された効果はなかったそうです。

自尊心ブームでどんなことが行われていたのかちょっと長いですが一例を引用します。

ジーン・トゥエンジは「Generation Me(自分世代)」の中で…学童のための自尊感情プログラムは、吐き気を催すほどエゴをうぬぼれさせるものになっていると指摘したのである。子どもたちは「The Lovables in the Kingdom of Self-Esteem(セルフ・エスティーム王国のかわいい子供たち)といった本を読むように言われ、その中で、胸をそらせて「ぼくはかわいい」「私はかわいい」と3回繰り返せば自尊感情への扉が開くと教えられる。「Be a Winner; A Self-Esteem Coloring and Activity Book(勝ち組になろうー自尊感情を高める塗り絵と活動)」といった本を活用すれば、自分がどんなに特別で大切な存在かに気づくようになるとも教えられる。

ーセルフ・コンパッション

慎み深さが美徳とされる国の人にはちょっとここまでと驚かれたかもしれません。

親子関係に当てはめると、親が見境なく子どもを褒めると自尊心のインフレが起きる可能性があり危険です。

かと言って根拠があるときにだけ褒めるのも親の望むことをしたときにだけ認めることになり、子どもの価値が他者の評価によることになってしまいます。

真に自分が価値ある人間だと感じられるのは自分のことを無条件に好きでいてくれる人がいる時です。

自尊心は無理に高めなくていい?!

ええー、以下の一節を読んだときに驚きました。

-自尊心が高いのは幸せ・成功の結果であって原因でないことが多い
多くの研究は、ある時点での自尊心の高さと、成功・幸せの高さのデータをとって両者の関係を見るのですが、両者が同時に高い傾向にあるだけで、鶏と卵のようにどちらが原因でどちらが結果かはわかりません。それなのに、自尊心が高いことが成功や幸せの原因と考えて、ならばそれを高めようとやっきになるのは問題です。

世界に通用する子供の育て方

間違った方法で自尊心を上げようとすると、条件付きの自尊心が育ってしまうし、そもそも自尊心は成功や幸せの原因ではなく結果なことが多いとすると、Good enoughな自尊心はどうやったら高くなるのでしょうか?

セルフ・コンパッションに行きついた!

さきほど、自分が価値ある人間だと感じられるのは自分のことを無条件に好きでいてくれる人がいる時と書きました。わたしには息子がいるのですが、彼のことは本当に愛おしくて「生まれてきてくれてありがとう」と心の底から思います。ある日「そういえば、この気持ちを自分に対して抱いていないな」と思うようになりました。

自分自身を無条件に愛するには、セルフ・コンパッションの実践しかないと気づいたのです。

前出のセルフ・コンパッションではこのように書かれています。

科学的な検証結果によれば、セルフ・コンパッションは高い自尊感情と同じ利益があるらしく、欠点は認められないようである。まず知っておくべきは、セルフ・コンパッションと自尊感情は明らかに両立する傾向があるということ…セルフコンパッションを実践していれば、自己批判ばかり繰り返している場合より、自尊感情は高くなる傾向がある。

自己批判をやめる

セルフ・コンパッションがわたしには必要と知りました。次は実践ですが、どうしたらいいのでしょう?

まず始めたのが失敗したときに自己批判しない、ということです。今までの癖でついつい「わたし、何やってんだ」「ああしとけばよかったのに」と簡単に自分を責めるのです。

セルフ・コンパッションでは、今ここの自分の状態や感情に気づき、「誰だって間違うことはある」と、人間の共通性をみいだして、思いやりを大切にします。

自分の負の感情に寄り添うことは勇気がいります。私は、長いこと早く抜け出したくて、蓋をしたりないことにしてきました。感情を感じないほうが生産的に物事を進められる気がしていました。

ネガティブな感情も大切にする

セルフ・コンパッションではネガティブな感情も大切にし、自分はこんな風に感じているんだなとただただ空に雲が流れているように見つめます。

わたしの大好きなブレネー・ブラウン博士は、ネガティブ感情を押さえつけてないことにしていると脳はネガティブとポジティブを分けられないため、ポジティブ感情も湧かなくなると言います。

明るく生きたいために良かれと思ってネガティブ感情をないことにしていたら実はポジティブにもなれなくなるという。

無理やりポジティブになろうとする弊害ですね。

つながりを感じる

条件付きの自尊心は、終わることのない比較ゲーム。だれかと比較している間は上には上がいるし、条件付きの自尊心は上がったり下がったり。いつも争っているので孤独です。

一方、セルフ・コンパッションではつながりの感覚=人は誰でも多かれ少なかれ苦しむこともある、と考えます。人との共通性を感じるのですね。

優等生をやめる

これは自分に響きました。

自尊感情が最初に沸いたときの快感があまりにも心地よいため、誉め言葉を受け取り続けたい、競争に勝ち続けたいと思うようになる。心理学者はこのプロセスを「快楽追及トレッドミル」と呼ぶ。
楽しいからするのではなく、高い自尊感情という報酬を手に入れるために始めると、勝てなくなったらあきらめてしまう。

ーセルフ・コンパッション

得意で人よりうまくいくと周りから褒められたり、自分は人より優れているのだと思えてもっともっとと頑張る。傍から見ると好きでやっているのかと思いきや快楽追及トレッドミルをぐるぐる回っているだけだったという。

子どものころ田舎の学校で運動や勉強は、ちょっと努力すれば上のほうで優等生で確実に快楽追及トレッドミルにはまっていました。

息子が生まれてすぐに外国に暮らし始めて、中年の危機も真っ只中だったころ、家族の関係性も悪くなってにっちもさっちもいかなくなり、藁をも掴む思いでコーチングを受けたときに最初に言ったのが「わたし何をしたら自分が本当に楽しいのかわからないのです。」

まとめ

「そこにいるだけであなたは尊い」というメッセージを自分に送り続ける、

ということでセルフ・コンパッション。

自分や周りに対する愛を意識します。

参考文献

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