ロバート・ウォールディンガー教授『人生を幸せにするのは何?最も長期に渡る幸福の研究から』
こちらのTedTalkでは心理学者ロバート・ウォールディンガー教授が75年間に渡る幸福に関するハーバード大学の追跡調査の結果をお話されています。
何が人を幸せにするのでしょうか?もう結論を言っちゃいましょう。
それは、富でも名声でもなく、
ポイント
良い人間関係
やっぱりでした。
このTedTalkでウォールディンガー教授が最後に紹介したマーク・トゥエインの詩を心に留めて置こうと思います。
こちらのサイトで散文詩っぽく訳されている方がいて素敵なので引用させていただきます。
いのちはみじかすぎて
いさかう
わびる
こころをいため
ものいいをする
そんなひまはない
あいしあう
いまこのとき
そのための
いのちではないのか
「やっぱり」と思っていたということは、人間関係が大事とわかっていたということ。でもどうして幸せな感覚が得られなかったのか、家族もいる友人もいる、衣食住も足りているのに。
その答えはブレネー・ブラウン教授が教えてくれました。
ブレネー・ブラウン教授『傷つこ心の力』
生きている限り人はネガティブ感情を抱くときが多々あります。頭ではわかっているのですが、できるだけ「傷つかないように生きよう」としていました。
傷つくのは怖いし、批判されたら嫌だし、失敗すると恥ずかしいし、周りに申し訳ない。
ブラウン教授は傷つくことを恐れる気持ちを脆さ(Vulnerability)と呼び、よい人間関係のためにはどんな脆さを自分は持っているのかを知り、傷つく可能性を受け入れることが必要といいます。
なぜなら
誰もが心から求める感情や体験、つまり愛、帰属意識、喜び、勇気、共感、そして創造性は、傷つく可能性からこそ生まれるということ
だから。
自分の場合、このような脆さを受け入れることができず、自分の価値が下がってしまうと思い込んでいました。がっつり鎧をつけて、そういう状況はできるだけ避けるし、感じたとしても麻痺させて、なかったことにしたりしていました。ときには、相手から指摘されると剣を振りかざして逆ギレしたり。
そうするとどうなるのか?人はマイナス感情もプラス感情も区別できないのでどちらも抑え込むことになり、人生で起こる素晴らしいことに素直に感動し、嬉しい、幸せ、ワクワクといった感情をいだきにくくなります。そして、ついには他者との信頼関係も築きにくくなり、人生の満足感が得られなくなるのだと。
ここでロバート・ウォールディンガー教授の幸せは人間関係に築かれるという話に繋がります。そう、満ち足りてよいはずの環境なのに何かモヤモヤしていたのは、自分自身の「心の脆さ」を受け入れることができないことが原因だったのです。
このTedTalkの中でもうひとつ胸にグサッと刺さった言葉が
え~、相手が悪いから指摘しているんじゃないんですね。自分の痛みや不快をぶちまけているんですね。
まとめ
このTedTalkは2010年、書籍の翻訳版も2013年の出版でした。「もっと早く知っていれば」と思うけれど、万事塞翁が馬、もしかしたらその時に見ても理解できなくてスルーしたかもしれないし、今がその時だったのだなと思います。
もしかしたらこのお話を聞いてピンっとくる方がいて、「マイナス感情を抱くのは人間として当たり前でそれもひっくるめてわたしなのだ」と肩の荷がおりたような感覚を味わっていただけたら嬉しいです。その先にほんとうのわたし、勇気ある自分になれる気がします。